治療の種類
「抗ウイルス治療」と「肝庇護療法」
C型慢性肝炎の治療には、C型肝炎ウイルスを直接攻撃してウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス治療」と、炎症を抑え肝臓を保護することを目的とした「肝庇護療法」があります。
「抗ウイルス治療」に、飲み薬だけで治療する治療法が登場しました
C型慢性肝炎に対する「抗ウイルス治療」に使用できる薬には、「インターフェロン」、「リバビリン」、そして近年登場した、C型肝炎ウイルスに直接作用して増殖を抑える「直接作用型抗ウイルス薬」の3つがあります。
インターフェロン
患者さんの身体に働きかけて、C型肝炎ウイルスを排除する物質を作らせたり、免疫の反応を強くしたりする注射薬です。
リバビリン
インターフェロンやDAAと併用することで、これらの薬の効果を高める飲み薬です。
直接作用型抗ウイルス薬(DAA)
C型肝炎ウイルスが肝臓の細胞の中で増える過程を直接抑制する飲み薬です。DAAの登場により、治療終了後もC型肝炎ウイルスが検出されない状態が持続するウイルス学的著効(SVR)を達成できる患者さんの割合が著しく増えました。
抗ウイルス治療の分類
C型慢性肝炎に対する「抗ウイルス治療」はこれら(「インターフェロン」、「リバビリン」、「DAA」)の薬を組み合わせて行いますが、大きくは、注射薬であるインターフェロンを用いる「インターフェロン治療」と、インターフェロンを使用せずに飲み薬だけで治療する「インターフェロンフリー治療」に分類されます。
治療法の特徴
抗ウイルス治療
①投与の方法
②治療の期間
③治療の対象
C型肝炎ウイルスには遺伝子型(ジェノタイプ)があり、1型、2型などに分類されています。日本人では、インターフェロン治療に抵抗を示す傾向があるジェノタイプ1型が約70%を占めるといわれていますが、インターフェロンフリー治療はジェノタイプ1型にも高い効果が期待できるとされています。
最近では1型以外のジェノタイプ2型にもインターフェロンフリー治療ができるようになり、より多くの患者さんで治療の選択肢が広がりました。
※以前にC型肝炎の治療を受けたことがあるかによって、推奨されていない治療も含まれています。
IFN:インターフェロンまたはペグインターフェロン
インターフェロンフリー治療は、初めて治療を行う患者さんに加えて、下記のような患者さんにも効果が期待できる新しい治療法選択肢です。
- インターフェロンの副作用のため抗ウイルス治療を行うことができなかった患者さん
- インターフェロン治療を行ってもC型肝炎ウイルスを排除できなかった患者さん
- C型肝炎が再発した患者さん
どのような治療法が適しているかは、全身の状態、C型慢性肝炎の進行度(病期、ステージ)や活動度、ウイルスの量や遺伝子型(ジェノタイプ)などによって異なります。C型慢性肝炎の治療選択にあたっては、肝臓専門医とよく相談することが重要です。
肝庇護療法
C型肝炎ウイルスを直接攻撃する作用はありませんが、肝臓を保護し、肝機能を改善する薬を使った治療です。肝庇護療法には、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯(しょうさいことう)などがあります。また、インターフェロン少量投与を行うこともあります。